■体裁:A4版255ページ
■発刊:2000/03/28
■ISBNコード:4-89808-021-9

【執筆者】
高島 貢
東京農工大学 名誉教授, 工学博士
元 東京農工大学工学部 電気電子工学科 文部教官 教授

※所属、肩書き等は本書発刊当時のものです。

【序文】
高周波(1GHz~30GHz)の電子回路を扱うには低周波とひと味違う考え方が必要です。低周波ではオームの法則で電圧を算出しますが、高周波では信号の到達時間が場所によって異なるので、低周波の要領で計算した値は実測値に合いません。いわゆる伝送理論を使わなければならないのです。本書の記述の特色を箇条書きにしてみましょう。1)例えば、高周波回路の特性を表すのに必要な量を紹介するときには、まず、親しみやすい図面をかかげ、そこから入ってゆくようにしています。2)ある量を表現する必要があってその量を紹介する場合、それを測定するにはどうすればよいかをつねに念頭において記述しています。
3)数式には、“その式がスミスチャート上にどのように現れるか""を例示して、具体的な解説文をつけています。4)数式の紹介では、オームの法則の知識を前提にしているだけですから、数式の扱い方を忘れてしまった人にも理解できるように心がけています。5)教科書ふう・例えば、類題すなわち例題にならって解ける練習問題を章未に設けました。要するに、用語や数値に慣れるように述べています。

【目次】

第1章　スミスチャートの導入
　1.スミスチャートの基本的構造
　2.反射係数の直交座標表示と極座標表示
　3.スミスチャートのインピーダンス表示とアドミタンス表示
　演習問題

第2章　伝送線路とスミスチャート
　1.伝送線路の任意点に存在する2個の進行波とスミスチャート
　2.伝送線路の任意点のフェーザとインピーダンス(極座標)表示のスミスチャート
　3.伝送線路の任意点のフェーザとインピーダンス(直交座標)表示のスミスチャート
　4.伝送線路を伝搬する進行波とスミスチャート
　5.伝送線路の任意点間のインピーダンス変換とスミスチャート
　演習問題

第3章　2端子素子とスミスチャート
　1.短い伝送線路に装荷した1ポート素子の周波数軌跡とスミスチャート
　2.短い伝送線路に装荷した1ポート素子の値の変化とスミスチャート
　3.1ポート素子を装荷した伝送線路の任意点の移動とスミスチャート
　4.中間に1ポート素子を並列に挿入した伝送線路とスミスチャート
　5.中間に1ポート素子を直列に挿入した伝送線路とスミスチャート
　演習問題

第4章　整合回路とスミスチャート
　1.伝送線路の定在波と未整合
　2.整合とスミスチャート
　3.四分の一波長線路を用いた整合とスミスチャート
　4.スタブ1個を用いた整合とスミスチャート
　5.並列共振回路の原理を用いた整合とスミスチャート
　6.並列抵抗列を用いた整合とスミスチャート
　7.損失のある線路とスミスチャート
　演習問題

第5章　2ポート素子とスミスチャート
　1.伝送線路と1ポート素子の接続点の進行波aおよびb
　2.1ポート素子の進行波aおよびbと規格化インピーダンスz
　3.2ポート素子の進行波{a1,　b1　;　a2,　b2}と散乱パラメータ
{s11,　s12,　s21,　s22}
　4.長さDの無損失線路の散乱パラメータ{s11,　s12,　s21,　s2
2}とスミスチャート
　5.結合容量CCの散乱パラメータ{s11,　s12,　s21,　s22}とス
ミスチャート
　6.並列容量CPの散乱パラメータ{s11,　s12,　s21,　s22}とス
ミスチャート
　7.縦続接続した2個の2ポート素子の散乱パラメータとスミスチャート
　演習問題

第6章　高周波増幅回路とスミスチャート
　1.トランジスタの特性を表す散乱パラメータとスミスチャート
　2.トランジスタの散乱パラメータ{s11,　s12,　s21,　s22}の周
波数軌跡とスミスチャート
　3.トランジスタの変換利得とスミスチャート
　4.トランジスタ増幅回路が安定に動作する負荷範囲とスミスチャート
　5.直列帰還形増幅回路の直列帰還インピーダンスZEとスミスチャート
　演習問題

第7章　散乱パラメータの測定とスミスチャート
　1.1ポート素子の散乱パラメータs11の測定とスミスチャート
　2.方向性結合器による散乱パラメータs11,　s12,　s21,　s22の測
定とスミスチャート
　3.定在波による1ポート素子の散乱パラメータs11の測定とスミスチャート
　4.ドシャンプの方法による散乱パラメータs11,　s12,　s21,　s22
の測定とスミスチャート
　5.参照面の移動による散乱パラメータの変化とスミスチャート
　演習問題

第8章　演習問題解答