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RLB100122
環境化学物質の最新計測技術
販売価格(税込):
60,500
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■体裁:A4判、448ページ
■発刊:2001年12月
■ISBNコード:
【著者】
前田 恒昭 電気化学計器/ 宮崎 章 資源環境技術総合研究所/
小野寺 祐夫 東京理科大学/ 平賀 要一 日本化学工業協会/
田中 敏之 資源環境技術総合研究所/ 辰市 祐久 東京都環境科学研究所/
今川 隆 資源環境技術総合研究所/ 秋山 賢一 自動車研究所/
田中 茂 慶應義塾大学/ 村山 昌平 資源環境技術総合研究所/
田中 一彦 工業技術院 名古屋工業技術研究所/ 田尾 博明 資源環境技術総合研究所/
浅田 正三 日本品質保証機構/ 日野 隆信 千葉県衛生研究所/
川田 邦明 新潟県保健環境科学研究所/ 吉永 淳 東京大学/
竹内 正博 東京都立衛生研究所/ 山下 信義 資源環境技術総合研究所/
安原 昭夫 国立環境研究所/ 高橋 保雄 東京都立衛生研究所/
田中 敦 国立環境研究所/ 張野 宏也 大阪市立環境科学研究所/
益永 茂樹 横浜国立大学/ 福島 実 大阪市立環境科学研究所/
山崎 慎一 東北大学/ 宮田 秀明 摂南大学
※著者の所属は発行当時のものです。
【概要】
近年, 化学物質が多くの分野で広く使われており, 大気, 水等の環境や含めた生物等への影響がいろいろ問題となっている。これらの化学物質の中には, その使用を止めるあるいは制限することで環境への放出量を低減させることができるものもあるが, 代替品がない, または, 代替品では期待された効果が出ない等の理由でどうして使わなければならないものもある。これら化学物質の環境への悪影響を最小とするように化学物質の使用を管理するためには, これらの物質の環境中での存在量等を常に正確に把握しなければならない。そのためには, これら化学物質の計測技術を常にブラッシュアップして, 毎日といってよいほどの早さで数が増えていく化学物質に対応していく必要がある。加えて, 問題となる化学物質の数が増えていくばかりではなく, ますます低い濃度が問題となっている。例えば, ダイオキシン類の水質環境基準は, 1 pg/Lとppqの単位である。これを正確に計るためには, JISでは, 試料における検出限界は1 pg/Lの1/30以下でなければならないから, 検出限界は0.03 ppq以下という非常に低い値となる。このような傾向は, ダイオキシン類の測定だけではなく, 金属類や有機金属化合物, 揮発性有機化合物, 内分泌攪乱物質(ダイオキシン類もその1種であるが)等, どの場合にも見られるのが現状である。
また, 最近では測定値の精確さ{これは従来の正確さ(最近では真度という)と精度の総合概念を表す言葉である}や, その程度を表す不確かさが国際的にも問題となっており, 分析機関の認証制度として従来のISO/IECガイド25から, ISO/IEC規格17025に基づいた制度が国内でも進められようとしている。これもダイオキシン類の分析に例が見られるように, 日本で採取した試料を外国で測定した場合と, 日本で測定した場合, その結果が異なった場合にはどちらの分析機関で測定した結果を採用するのかという, いささかグローバルな問題に直結する問題である。
以上述べたように, 環境化学物質の精確な測定を行うには, 多くの問題点があり, 環境計測の研究者が常日頃, 苦心しているところである。そこで, われわれを取り巻く環境化学物質の管理に少しでも役立つことを目的として, 多くの研究者に研究の最新技術を紹介してもらうこととした。
本書が, 環境化学物質の管理や, 環境化学物質の測定を行っている方々等の何らかの参考になれば望外の喜びである。
【目次】
第1編 大気関連汚染物質の公定法
第1章 大気関連汚染物質
1.大気関連汚染物質と対策
大気汚染と分担/有害大気汚染物質への取り組み/発生源対策
2.公の方法
3.分析方法の成り立ち
4.観測目的と分析手法
5.今後の動向
第2章 水質関連汚染物質
1.わが国の環境庁告示等
金属類およびその他の無機元素, 無機イオン等/有機化合物類
2.ISO法
3.EPA法等
第3章 土壌汚染物質
1.土壌汚染例と環境関連法
2.土壌の汚染に係わる環境基準
3.土壌汚染に係わる公定分析法の概略
調査地点と試料採取/汚染土壌中の重金属類の公定分析法/汚染土壌中の揮発性有機化合物の公定分析法/汚染土壌中の農薬類の公定分析法/汚染土壌中のダイオキシン類の公定分析法
第4章 試験所認定制度
1.試験所認定とは
適合性評価とは/なぜ「適合性評価」が必要か/なぜ試験所「認証」でなく「認定」なのか/品質システム適合性評価(認証)と試験所適合性評価(認定)の差異
2.ISO/IECガイド25
ISO/IECガイド25の試験所への適用/試験所に要求される事項/ISO/IECガイド25が試験所に要求しているもの/ISO/IEC17025
3.認定機関
ISO/IECガイド58/認定審査の実際/技術審査/審査の種類
4.認定取得のメリット
日本における試験所認定制度の状況/試験所側の認定メリット
第2編 環境汚染物質計測の最先端
第1章 大気関連汚染物質
第1節 排ガス中汚染物質
第1節 第1項 固定発生源
1.1 揮発性有機化合物(VOCs)
1.はじめに
2.既存のJIS等公定法による発生源モニタリングの現状
3.VOCHAPs等の発生源形態
4.発生源事業所における実測例
Tenax捕集管を用いた発生源近傍での溶剤蒸気の実測例/携帯型GC-MSによる発生源排出物質のon site測定事例
5.おわりに
1.2 アルデヒド類
1.はじめに
2.排ガス試料採取の方法
採取方法/採取口/溶液吸収法の場合の器具および装置/カートリッジ法の場合の器具および装置/排ガス採取量(Vs)の計算
3.アルデヒド類の分析方法
AHMT法/クロモトローブ酸吸光法/2,4-ジニトロフェニルヒドラジン捕集-ガスクロマトグラフ法(DNPH-GC法)/固相捕集-ガスクロマトグラフ法(DNPH-GC法)/固相捕集-高速液体クロマトグラフ法(DNPH-HPLC法)
1.3 ダイオキシンおよび関連物質
1.はじめに
2.準 備
3.試料の採取と抽出
試料採取/採取後の抽出
4.試料の前処理
標準物質/試料の精製/濃縮操作
5.機器分析
ガスクロマトグラフィー/選択イオン検出/塩素化合物の特徴/高分解能質量分析/機器分析時測定誤差の要因
6.ブランクテスト
7.おわりに
第1節 第2項 移動発生源
2.1 有害大気汚染物質(ベンゼン, アルデヒド, 多環芳香族)
1.はじめに
2.自動車から排出される有害大気汚染物質の計測設備
自動車排出ガス/排気管から排出される自動車排出ガス/自動車から蒸発するガスの計測設備/有害大気汚染物質の捕集設備/自動車排出ガスの最新計測設備
3.自動車排出ガス中の有害大気汚染物質(炭化水素, アルデヒド)の公定法にある計測技術
カリフォルニアのNMOG試験法/一般的な適応性と必要条件(PART A)/水素炎イオン化検出による非メタン炭化水素の質量排出量の定量(PART B)/Method1001:ガスクロマトグラフィーによる自動車排出ガス試料中のアルコール類の定量(PART C)/Method1002:ガスクロマトグラフィーによる自動車排出ガス試料中のC2からC5炭化水素の定量(PART D)/Method1003:ガスクロマトグラフィーによる自動車排出ガス試料中のC6からC12炭化水素の定量(PART E)/Method1004:高速液体クロマトグラフィーによる自動車排出ガス試料中のアルデヒド類とケトン類の定量(PART F)/非メタン有機ガスの質量排出量の定量(PART G)/低中級炭化水素のリスト(Appendix-1)/精度管理
4.自動車排出ガス中の有害大気汚染物質(炭化水素, アルデヒド)の最新計測技術
NMOGの分析法の問題点/炭化水素の最新計測技術/アルデヒド類の最新計測技術/連続測定法
5.自動車排出ガス中の有害大気汚染物質(多環芳香族)の公定法にある計測技術
TO-13:ガスクロマトグラフィーと高速液体クロマトグラフィーによる大気中のベンゾ[a]ピレンと他の多環芳香族炭化水素の分析法の概要/有害大気汚染物質測定法マニュアル 第・章 大気粉塵中のベンゾ[a]ピレンの測定方法の概要/自動車排出ガス中の有害大気汚染物質(多環芳香族炭化水素)の計測技術の概要/自動車排出ガス中の有害大気汚染物質(多環芳香族炭化水素)の最新計測技術
6.低濃度の自動車排出ガスの取扱例
第2節 環境大気中汚染物質(室内環境も含む)
1 金属粒子成分分析
1.はじめに
2.LA/ICP-MS分析法
レーザーアブレーション(LA)法の特徴/LA/ICP-MS分析装置/標準試料フィルターの作製/レーザーの出力/レーザー照射数
3.大気粉塵中の金属分析
LA/ICP-MS分析条件/標準試料フィルターと血泓ハ線の作成/分析精度/検出限界/分析結果
4.まとめ
2 二酸化炭素
1.はじめに
2.非分散赤外分析計
3.標準ガス
4.連続測定システム
5.フラスコサンプリング法
6.その他の分析方法
7.おわりに
3 揮発性有機化合物(VOC)
1.はじめに
2.吸着捕集の原理
3.ガスクロマトグラフ法による破過容量(Breakthrough Volume)の推定の方法
4.VOC捕集剤として使われる吸着剤
5.捕集管および加熱試料導入装置
吸着捕集管/加熱試料導入装置/常温吸着捕集・加熱脱着によるVOCの濃縮分析の操作
6.フィールド観測の手法
VOCの発生源と環境問題の特徴/VOCに関係する環境問題への対応とその測定手法
7.おわりに
4 酸性雨関連物質
1.緒 言
2.酸性雨成分
3.酸性雨のモニタリングの公定法
4.イオンクロマトグラフィー
5.雨水試料の前処理
6.イオンクロマトグラフィーによる酸性雨成分の同時分離
酸性雨成分のイオン排除/陽イオン交換型ICによる同時分離計測/イオン排除/陽イオン交換型ICの酸性雨成分のモニタリングへの応用
7.イオン排除型イオンクロマトグラフィーによる炭酸水素イオンの分離計測
8.酸性雨モニター
9.オンサイト型酸性雨モニター
10.結 言
5 アルデヒド類
1.はじめに
2.拡散スクラバー法
3.高速液体クロマト(HPLC)分析
4.拡散スクラバーによるHCHOおよびCH3CHOの捕集効率
捕集効率測定の実験装置/HCHOおよびCH3CHOの捕集効率/CH3CHO標準ガスを用いた各捕集法による測定値の比較/アルデヒドの測定における共存ガスの影響
5.大気中アルデヒドの自動連続測定装置
拡散スクラバーと高速液体クロマトグラフとを組み合わせたアルデヒド自動連続測定装置/自動連続測定装置の分析精度および検出限界/自動連続測定装置による大気中アルデヒドの測定
6.まとめ
第2章 水質関連汚染物質
第1節 工場排水
1 重金属類
1.公定法
概論/誘導結合プラズマ発光分光法(ICP-AES)/誘導結合プラズマ質量法(ICP-MS)
2.最新の分析法
GC/ICP-MSによる極微量有機スズ化合物のスペシエーション/GC/ICP-MSによる天然ガスコンデンセート中の水銀のスペシエーション/LC/ICP-MSによる水中ヒ素化合物のスペシエーション
2 ダイオキシンおよびその関連物
1.はじめに
2.JIS法の概要
3.試料採取
試料容器/試料の採取量/試料採取時の記録/試料の取り扱い
4.試料の前処理
試料の前処理の概要/前準備/前処理操作/同定・定量
5.測定データの品質管理
6.まとめ
3 揮発性有機化合物
1.はじめに
2.水中のVOCsの検出・対策・規制の歴史
3.水質基準と測定法
水質基準/各種公定法と測定方法
4.VOCs分析の基礎原理
気液分配平衡/溶媒抽出
5.最新の測定技術
パージ・トラップ法/静的ヘッドスペース法/動的ヘッドスペース法/溶媒抽出法
6.分析法の選択
4 農 薬
1.はじめに
2.有機リン化合物
概要/試料の採取方法と保存方法/分析方法
3.チウラム
概要/試料の採取方法と保存方法/分析方法
4.シマジンとチオベンカルブ
概要/試料の採取方法と保存方法/分析方法
第2節 環境水(河川水, 湖沼, 地下水, 海水)
1 重金属類
1.環境水中の重金属レベル
2.公定法による環境水の重金属分析法
サンプリング/前処理
3.環境水中重金属分析の最先端
海水中微量重金属のオンライン濃縮-ICP質量分析法/同位体希釈ICP質量分析法による高精度・高確度分/新たなICP質量分析法による海水中ヒ素の分析/化学形態分析手法-GC-MIP-AES, LC-ICP-MS等
2 有機スズ
1.汚染経緯
2.分析法概要
3.GC分析法
グリニャール試薬によるアルキル化/テトラエチルホウ酸ナトリウムによるエチル化/水素化ホウ素ナトリウムによる水素化/非誘導体化法-ハロゲン化アルキルスズとしての直接分析
4.その他の分析法
HPLC-AAS/HPLC-ICP-MS/原子吸光分析
5.試料保存(安定性)
3 ダイオキシンおよびその関連物質
1.はじめに
2.試料採集方法
粒子濃度/予想される濃度レベル/採水深度
3.ろ 過
4.抽出操作
5.試料精製
6.定 量
7.現場ろ過吸着法
8.現場ろ過吸着装置を用いた海水中ダイオキシン類の分析例
東京湾海水中のPCDD, PCDFとPCBの三次元分布調査/日本海北西部におけるPCBとノニルフェノールの鉛直分布
9.まとめ
4 アルキルフェノール&ビスフェノールA
1.液々抽出法によるアルキルフェノールの分析
分析対象物質/目標検出限界/分析法概要/試薬・器具/試験操作/同定, 定量および計算/備考
2.液々抽出法によるビスフェノールAとクロロフェノール類の分析
対象物質/目標検出限界/分析法概要/試薬・器具/試験操作/同定, 定量および計算/備考
5 フタル酸エステル
1.対象物質
2.目標検出限界
3.分析法概要
4.試料水の採水および保存方法
5.試薬・溶媒
試薬/器具および装置
6.試験操作
測定用試料液の調製/空試験液の調製/標準液の調製/GC/MS測定条件/検量線/定量および計算
7.添加回収試験
6 農 薬
1.はじめに
2.HPLC法
概要/試料の採取方法と保存方法/分析方法
3.GC/MS法
概要/試料の採取方法と保存方法/分析方法
第3節 底 質
1 重金属類
1.底質の特徴と分析の傾向
2.試料採取
3.堆積年代測定法
4.重金属類の分析法
公定法の概要/元素ごとの分析法/最近の分析法の傾向/標準物質
2 有機スズ
1.はじめに
2.有機スズ化合物の分析法のレビュー
3.環境ホルモンとしての有機スズ化合物の分析方法
4.ブチルおよびフェニルスズ化合物の同時分析法
5.まとめ
3 ダイオキシンおよびその関連物質
1.ダイオキシン類の分析法
2.対象物質
3.試料採取方法
採泥方法/採取時の記録/試料の調整/底質に関する一般測定項目
4.ダイオキシン類の測定方法
試薬/器具と装置/分析操作
5.コプラナーPCBの測定方法
試薬/器具と装置/分析操作
6.底質中ダイオキシン類の分析の実際
東京湾のダイオキシン汚染の原因の解析/宍道湖の底質コアの解析/底質の分析からわかること
4 アルキルフェノールおよびビスフェノールA
1.はじめに
2.振とう抽出法によるアルキルフェノールの分析
分析対象物質/目標検出限界/分析法概要/試薬・器具/試験操作/同定, 定量および計算
3.振とう抽出法によるビスフェノールAとクロロフェノール類の分析
対象物質/目標検出限界/分析法概要/試薬・器具/試験操作/同定, 定量および計算
4.備 考
5 フタル酸エステル
1.対象物質
2.目標検出限界
3.分析法概要
4.底質試料の採取および保存方法
5.試薬・溶媒
試薬/器具および装置
6.試験操作
測定用試料液の調製/GPCカラムによるフタル酸エステル分画の分取条件/空試験液の調製/標準液の調製/GC/MS測定条件/検量線/定量および計算
7.添加回収試験
6 農 薬
1.はじめに
2.有機リン, カルバメート, トリアジン系農薬等の多成分一斉分析法
方法の概要/溶媒・試薬・器具, 標準液および測定装置/抽出操作/精製操作/測定用試験液および検量線作成用標準液の調製/測定と定量
3.有機塩素系農薬の多成分一斉分析法
方法の概要/溶媒・試薬, 器具, 標準液および測定装置/抽出操作/精製操作/測定用試験液および検量線作成用標準液の調製/測定と定量
4.フェノキシ酢酸系農薬
方法の概要/溶媒・試薬, 器具, 標準液および測定装置/抽出と誘導体化操作/精製操作/検量線作成用標準液の作成/測定と定量
5.農薬の単成分分析方法の概要
ベノミル/メソミル/アミトロール/マンネブ, マンゼブ, ジネブおよびジラム
第3章 土壌汚染物質
1 重金属類
1.はじめに
2.試料の採取法
採取位置の決定/採取する深さ/試料の量/採取用の器具/試料土壌の調整法
3.試料からの抽出法
全量分析法/アルカリ融解法/フッ化水素酸溶解法/過塩素酸分解法/浸出法(簡易分析法)
4.濃度の定量法
全量分析法/浸出法(簡易分析法)/浸出法(水抽出)
2 ダイオキシンおよびその関連物質
1.はじめに
2.ダイオキシン類測定のための溶媒, 試薬および器具
3.試料採取
資料等の調査/試料採取地点の選定/試料採取方法
4.分析試料の調製
採取試料の風乾/ふるい操作/等量混合
5.含水率および強熱減量の測定
6.分析方法
抽出/精製
7.同定および定量
GC-MS分析
8.精度管理
GC-MS装置の安定性/検量線の検定/二重測定
3 揮発性有機化合物
1.土壌環境(地質環境)と揮発性有機物による汚染
2.資料等の調査
3.土壌ガス調査(地下空気汚染調査)
4.地質ボーリング調査
5.地下水調査
第3編 資料編
計測機器メーカーリスト