商品コード:
RLB100209
超純水の科学
販売価格(税込):
33,000
円
ポイント:
0
Pt
※本書はオンデマンド印刷版となります。
オリジナル版のページ数が多いため第一分冊、第二分冊の二冊に分けていますが、内容の変更ありません。
■体裁:B5判、892頁
■発刊:1990年9月
■ISBNコード:
【執筆者】
福本隼明 三菱電機/ 久保田昌治 日立製作所/ 松 下嘉明 東芝/
久保田昌治 日立製作所/ 福本隼明 三菱 電 機/ 矢部江一 栗田工業/
牛越健一 神鋼パンテック/ 杉 山 勇、八巻由孝 野村マイクロ・サイエンス/
矢部江一 栗田 工 業/ 篠田猛 日立プラント建設/ 池上理一 オルガノ/
神 藤 郁夫 オルガノ/ 本村敬人 栗田工業/
河本宏実 野村マ イク ロ・サイエンス/ 本村敬人 栗田工業
※執筆者の所属等は、刊行当時のものです。
【概要】
新しいウエットプロセスを支える超純水技術
半導体プロセス技術に占めるウエットプロセスの比重は重く,またその歴史も長い。デバイスの微細化・超高集積化につれてドライプロセスが多用されているが,その表面金属汚染および表面有機欠陥の膨大さから,引き続くウエットクリーニング工程は現時点では不可欠である。プラズマ励起ドライプロセスが増すにつれて,ウエットプロセスも増加するという笑えぬ事態に至っている。ウエハ表面および液中で進行する反応過程をまったく理解しないまま,我々はウエットプロセスを利用し続けた。固液界面および液中における現象を,そのつど観察する手段を持ち合わせないために引き起こされた事態である。ひたすら薬品や水を超高純度化することに技術開発は集中した。また,それが必要であり,かつ有効でもあった。その間,ウエット工程は,25年前に提案されたRCA線状法のままであったといっても過言ではない。最近になって,ようやくウエットプロセスの物理・化学を究明する機運が盛り上がり始めている。薬品や超純水中に含まれる不純物が少なくなされて初めて,本来のウエットプロセス・表面反応の姿が再現性よく見えるようになったからでもある。同時に,超低入射角X線励起蛍光法な どによりウエハ表面残留金属汚染を精度良く測定できるようになったことも研究遂行の機運を高めている。表面平坦度を原子層オーダの精度で計画可能にする走査型トンネル顕微鏡(STM)の善及も,表面評価に絶大な威力を発揮し始めている。
超純水に残留する溶存酸素が,シリコン表面自然酸化膜形成に重大な役割を果たすことが東北大学で明らかにされて以来,超純水水質を見る半導体業界の視点が急激に厳しくなり始めている。残留する溶存酸素の自然酸化膜形成に与える効果は,金属表面においてさらに顕著である。超高集積サブミクロンULSIにおいては,プロセスの低温化が不可決であると同時にコンタクトサイズはますます減少する。多層金属配線間のコンタクト抵抗低減には,金属表面の自然酸化膜形成抑止は必須な要求事項となる。それにしても,クリーンな金属表面の活性さには驚嘆する。
サブミクロンULSI技術は,シリコン表面のみならず,金属表面およびSiO2などのアモルファス表面をも,プロダクションレベルで完全に制御する技術を意味するであろう。
本書で紹介されるように,超純水中に含まれる不純物はガス成分も含めて,十分に少ないレベルにまで減少させられている。にもかかわらず,この超純水で最終洗浄されたシリコン表面に,ClやFの残留が認められる。ウエハ表面によく濡れて,あらゆる残留不純物を除去し去る,物性制御された超純水に挑む時が来たことを実感する。
【目次】
第1編 超純水への要求
第1章 まえがき
第2章 水の構造
1. はじめに
2. 水分子の構造
3. 水とは-水は極めて特殊な液体である
4. 氷の構造
5. 水の構造
6. おわりに
第3章 ウエハ清浄化と超純水水質への要求
1. 表面欠陥のVLSIへの影響
2. 表面汚染の評価
3. 表面不純物の欠陥発生に及ぼす影響
4. 純水中不純物と表面汚染
5. 超純水水質への要求
第4章 超純水の物性
1. はじめに
2. 超純水とは-その使用上の留意点
3. 純水物性の温度変化
4. Siウエハの超純水洗浄
5. おわりに
第5章 あとがき
第2編 超純水製造システム
第1章 まえがき
第2章 前処理システム
1. 前処理の目的
2. 水源と水質
3. 前処理プロセスと装置
4. 分析と評価
5. まとめ
第3章 一次純水システム
1. 一次純水システムの概要
2. 代表的フローとシステムの特徴
3. 一次純水システムにおける単位機器の役割と機能
4. これからの一次純水システム
第4章 超純水システム
1. 超純水システム
2. 最新の超純水システム
3. 装置の役割と機能
4. 超純水システムでの水質挙動
第5章 端末配管システム
1. まえがき
2. 端末配管システム設計上の留意点
3. 端末配管システムの例と特徴
4. 端末配管システムにおける施工上の留意点
5. 端末配管システムの殺菌方法について
第6章 排水回収
1. はじめに
2. 排水回収の考え方の基本
3. 構成機器とその役割
4. システム例
5. 継持管理の注意点
6. クローズドシステム
7. まとめ
第7章 実装置運転データ
1. システムの説明
2. 測定項目と使用機器
3. 運転データ
4. 運転データのまとめ
5. まとめ
実装置運転データ例
1. 実装置運転データ 例-1
2. 実装置運転データ 例-2
第8章 運転管理, コスト
1. はじめに
2. システムの運転管理
3. 構成機器の管理ポイント
4. メンテナンスとコスト
5. 監視システムと予防保全
第9章 高温超純水システム
1. はじめに
2. 温超純水製造システム
3. 小型超純水加熱装置(ユースポイント用温超純水製造装置)
4. おわりに
第10章 あとがき
第3編 要素技術
第1章 まえがき
第2章 膜技術
第1節 RO
1. RO膜の現状
2. ROモジュールの種類と性能
3. RO装置の設計
4. RO装置の運転管理
5. 今後の開発方向
第2節 UF
1. はじめに
2. UF膜の特徴
3. UF膜の種類と構造
4. UF膜の性能評価法
5. 透過水中の微粒子の低減化
6. 超純水用低微粒子UFモジュール
7. おわりに
第3節 MF
1. 概略
2. MFによる濾過の位置付け
3. 濾過機構
4. デプスフィルターとMF
5. MFの素材・構造
6. MFの使用時の形態
7. 耐薬品性・耐熱性
8. カートリッジフィルターからの溶出物
9. 純水・超純水装置でのMFの用いられる位置
10. 純水装置内での粒子数の変化
11. 試験方法
12. 今後のMFに期待すること
第3章 イオン交換樹脂
1. はじめに
2. イオン交換樹脂の種類と機能
3. イオン交換装置の型式
4. 超純水製造システムでの機能
5. 今後の課題
第4章 ガス分離技術
1. はじめに
2. 真空脱気
3. 窒素ガス曝気による脱気
4. 膜脱気
5. 触媒樹脂による脱気
第5章 殺菌技術
1. はじめに
2. 超純水中での微生物の増殖
3. 紫外線殺菌方法
4. 間欠殺菌法
5. 連続オゾン殺菌法
第6章 TOC除去技術
1. はじめに
2. 逆浸透膜におけるTOC除去
3. 低圧紫外線ランプを用いるTOC除去
4. 高圧水銀灯を用いるTOC除去
5. あとがき
第7章 静電気除去対策
1. はじめに
2. 静電気について
3. 半導体デバイスの静電破壊
4. 液体の帯電
5. 超純水の帯電
6. 超純水の帯電防止装置
7. ウエハ処理工程での使用
8. おわりに
第8章 あとがき
第4編 機器, 配管材料
第1章 まえがき
第2章 配管材
1. 超純水配管材
2. 各種配管材
3. 各種配管材の超純水特性
第3章 バルブ, 継ぎ手
1. まえがき
2. 継ぎ手
3. バルブ
4. あとがき
第4章 ポンプ
1. はじめに
2. 低発塵ポンプと吐出水水質
3. まとめ
第5章 タンク
1. タンク構成材料
2. タンク製作上の留意点
第6章 熱交換器
1. 熱交換器の種類
2. プレート式熱交換器
第7章 あとがき
第5編 計器, 計測器
第1章 まえがき
第2章 運転管理用計器
1. 流量計
2. 圧力計
3. 温度計
4. レベル計
第3章 オンライン水質計器
第1節 高感度抵抗率計
1. はじめに
2. 高純度の水の水質仕様
3. 純粋な水の抵抗率
4. 自動温度補償
5. 検出器
6. 高感度抵抗率計
7. 試験結果と測定値
8. おわりに
第2節 TOC計
1. はじめに
2. TOC計の原理
3. TOC計の校正方法
4. おわりに
-1. 高温加圧湿式酸化によるTOC自動分析計-
概要
1. はじめに
2. 原理
3. 計測器の仕様
4. 各種有機物の分析例
5. むすび
-2. 湿式紫外線酸化-赤外線式TOC計-
1. はじめに
2. 測定原理
3. 構成と仕様
4. 構成と測定データ例
5. まとめ
第3節 微粒子計
1. はじめに
2. 測定原理
3. 測定装置とその特徴
4. 適用化技術
5. おわり
-1. 超微粒子計測装置-
1. 測定原理
2. 測定例
3. 特長
-2. 超純水中微粒子測定装置-
1. はじめに
2. 測定原理
3. 装置の特徴
4. PSL評価試験及び超純水の計測
5. まとめ
第4節 全蒸発残留物計
1. はじめに
2. 原理と仕様
3. 超純水における不純物の検出
4. 純水プラントでの測定例
5. 火力発電ボイラーでの計測例
6. 今後の展開について
-1. TSモニター-
1. 緒言
2. 超純水水質の新評価概念
3. 開発機器の使用
4. 微量蒸発残留物計測技術
5. ノズル型式の選定と噴射性能向上
6. 現状水質指標との相関性
7. まとめ
第5節 超純水用シリカ計
1. 測定原理
2. 要求仕様
3. 装置概要
4. 測定データ
第6節 溶存酸素計
1. はじめに
2. 隔膜型溶存酸素電極の動作原理
3. 純水用溶存酸素計
4. 溶存酸素の分析方法
5. おわりに
第7節 ATPモニター
1. はじめに
2. 測定原理
3. 計測の実例
4. まとめ
第8節 オゾンモニター
1. はじめに
2. ウエハ洗浄用オゾン超純水
3. オゾンモニター
4. あとがき
第4章 あとがき
第6編 施工技術
第1章 まえがき
第2章 洗浄方法
第1節 PVC配管洗浄, 工事
1. 洗浄工程と洗浄, 不洗浄品微粒子の数, 及びTOCの比較
2. PVCバルブ(洗浄品)の組立て方法と梱包方法
第2節 PVDF配管, 継ぎ手, 弁類
1. PVDF洗浄方法
2. PVDF-HPシリーズ
第3節 PEEK配管, 継ぎ手類
1. PEEKパイプ及び継ぎ手の製造
2. PEEKパイプ, 継ぎ手の規格
3. パイプの内表面
4. 洗浄
5. 今後の課題
第4節 合成樹脂弁類
1. はじめに
2. 合成樹脂弁の材質
3. 合成樹脂弁のタイプ
4. 洗浄設備
5. 洗浄処理プロセス
6. 洗浄作業
第5節 EP管
1. はじめに
2. 洗浄・包装要領
3. 内面付着物分析
第6節 GOLD EP管
1. 素材調査
2. 電解研磨
3. 前洗浄
4. 熱処理
5. 後洗浄
6. 梱包
第7節 酸化不動態ステンレス配管
1. 酸化不動態ステンレス配管の製作プロセス
2. テストサンプルの金属溶出特性
第8節 SUS弁類
-1. 一般弁-
1. 洗浄対象物について
2. 洗浄剤について
3. 洗浄工程について
-2. メタルダイヤフラム弁-
第9節 SUSポンプ
-1. ウルトラクリーンポンプ(渦流ポンプ)-
1. 性能
2. 構造
3. ステンレス製渦流ポンプの利点
4. 清浄性
-2. キャンドモータポンプ-
1. はじめに
2. キャンドモータポンプ
3. 脱油脂処理
4. 検査
5. 今後の方向
第10節 塔槽類
1. 有機材料
2. ステンレス鋼
第11節 圧力計
-1. 圧力計-
-2. 流量計-
1. はじめに
2. 超純水用流量計
3. 洗浄方法
第3章 施工・工事
第1節 PVC配管工事
1. はじめに
2. 接着接合, 融着接合の胸痛遵守事項
3. 接着接合
4. 融着接合
5. 接着と融着各接合法における各種性能比較
第2節 PVDF配管工事
1. ソケット溶着工事
2. 伸縮処理
3. 支持間隔
4. BCF溶着工法
第3節 PEEK配管工事
1. はじめに
2. 配管の施工法
3. 配管接続面の強度
4. 加熱による変形
5. おわりに
第4節 SUS配管工事
1. 超純水用SUS配管の設計上の要点
2. 超純水SUS配管の施工上の要点
第5節 サポート工事
1. 支持金物
2. 配管支持間隔
3. 多数配管の支持
4. 伸縮する配管の支持
5. 立管の支持
6. 配管の固定支持
7. 吊りボルト
8. 固定金具
第6節 機器据付け工事
1. 一般事項
2. 送風機
3. ポンプ類
4. 槽類
第7節 クリーンルーム配管工事
1. 材料の選定
2. 配置
3. 切断と接合
4. 設計・施工の考え方
5. 施工上の留意事項
第4章 あとがき
第7編 超純水分析評価技術
第1章 はじめに
第2章 抵抗率
1. 純粋な水の抵抗率, 電気伝導率
2. 微量イオンと抵抗率の関係
第3章 微粒子
第1節 微粒子数測定
1. はじめに
2. 微粒子数測定の基本
3. 微粒子の捕集
4. 光学顕微鏡による計数方法
5. 電子顕微鏡による計算方法
6. 微粒子の組成
7. おわりに
第2節 画像処理技術を用いた自動顕微鏡法
1. 画像処理の必要性
2. 光学顕微鏡法への画像処理の適用
3. 走査型電子顕微鏡法への画像処理の適用
4. 今後の課題
第4章 超純水と生菌について
緒言
1. 超純水中の細菌数測定法
2. 超純水中より分離された細菌
3. おわりに
第5章 全有機物
1. はじめに
2. 有機体炭素(TOC)の計測
3. その他の有機化合物の分析
4. おわりに
第6章 微量金属, イオン
1. イオン交換クロマトグラフィー
2. フレームレス原子吸光法
第7章 超純水中のシリカの定量方法
1. シリカの定量方法
2. 微量シリカ測定上の留意点
3. まとめ
第8章 コロイド物質
概要
1. はじめに
2. コロイド物質とは
3. コロイド物質の評価法
4. 超純水製造装置のトラブルに見られるコロイド物質評価法の実用性
5. おわりに
第9章 溶存酸素
1. 試料採取法
2. 試料取扱上の注意
3. 溶存酸素の濃度に影響する因子
4. 定量方法の種類
第10章 全蒸発残留物計測法の適用(TSモニター)
1. はじめに
2. モニタリング・システムの構成
3. 実ラインにおける測定結果の一例
4. むすび
第11章 超純水評価技術(ウォーターマーク)
第12章 あとがき
第8編 ウエットプロセス
第1章 まえがき
第2章 ウエットプロセスの概要
第3章 ウエットプロセス
第1節 洗浄装置
1. はじめに
2. 洗浄装置の構成, 構造
3. コンポーネンツと装置技術
4. 今後の問題点
第2節 IPAベーパー乾燥技術
1. はじめに
2. 原理
3. ペーパー乾燥装置の概要
4. まとめ
第3節 スピン乾燥
1. まえがき
2. ウエットプロセスの現状
3. スピン乾燥の種類
4. パーティクル及びウォーターマークの評価
第4節 ウォーターマークの生成条件
1. まえがき
2. 乾燥条件とウォーターマークの生成
3. まとめ
第4章 エッチング洗浄工程の物理化学
第1節 NH4OH-H2O2洗浄
1. まえがき
2. 試料及び試験方法
3. 実験結果及び考察
4. まとめ
第2節 バッファードフッ酸の界面化学的機能
1. バッファードフッ酸のエッチング作用
2. バッファードフッ酸の界面化学系機能
第5章 自然酸化膜の低減
1. はじめに
2. 自然酸化膜の種類及び膜厚測定法
3. 超純水中での自然酸化膜
4. クリーンルーム大気中での自然酸化膜
5. 種々の処理で形成される自然酸化膜
6. 超純水洗浄と乾燥工程における自然酸化膜
7. まとめ
第6章 シリコンウエハ上への水の吸着
1. はじめに
2. 昇温脱離分析法
3. 洗浄後のシリコン表面の吸着成分と状態
4. まとめ
第7章 高温高圧超純水スプレー洗浄技術
1. 精密洗浄の重要性
2. 精密洗浄の概説
3. 高温高圧超純水スプレー洗浄の評価
4. まとめ
第8章 今後のウエットプロセス
1. プロセス
2. ウエットプロセス装置
3. まとめ
第9編 今後の課題
第1章 超純水の今後の課題
第2章 超純水トータルシステムの開発にむけて
1. はじめに
2. 超純水製造システム上の問題点
3. コロイド物質の除去技術
4. クローズドシステム
5. 超純水水質への要求
6. おわりに