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RLB100207
黒鉛層間化合物
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■体裁:B5判、395頁
■発刊:1991年1月
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なお、初版時から本文内容の変更はございません。
【概要】
現在、カーボン材料はひとつの転換期を迎えている。従来のフィラーコークスとバインダーの混練、焼成、黒鉛化によって作られる人造黒鉛製品、大きな表面積を賦活することによって作られる活性炭、炭化水素ガスの熱分解によって得られるカーボンブラックなどから、新しい原料と新しい手法を駆使した新しいカーボン材料が作られ、そしてそれらのカーボン材料(アドバンスド・カーボンあるいはニュー・カーボン)が新しい用途を開拓している。ほぼ30年前に我国で開発されたPAN系炭素繊維の技術は世界をリードするまでに至っており、現在の最先端技術を支える重要な素材の一つである。また、高密度・等方性黒鉛は原子炉構造材料あるいは半導体製造用など各種治具としての地位を確立した。燃料電池、核融合炉など将来のエネルギー資源を支える材料としても注目されている。
当炭素材料学会は機関誌「炭素」の中で、これらの最新の研究成果、新しい技術を紹介するよう努めてきた。そして、この努力を今後も継続することは学会としての当然の責務と考えている。また、昭和47年には「炭素材料入門」を発刊し、会員のみならず多くの分野の方々にご利用いただてきた。そして昭和59年にはその内容を刷新し、「改訂 炭素材料入門」として発刊し、好評を得ている。これらをテキストとする「基礎講習会」は毎回多数の参加者がある。しかし、一方ではさらに“入門”からより進んだ高度の解説、情報を希望する声も強い。そこで、これらの要望に応えるために、「アドバンスト・カーボン」シリーズを企画、出版することとした。
本シリーズでは、特定のテーマについて、専門家の方に広い視野に立って、基礎から応用にわたる広い範囲を、充分な紙面を使って、解り易く解説していただく。そして、それによって、アドバンスト・マテリアルとしてのカーボン材料をめぐるアドバンスト・サイエンスさらにアドバンスト・テクノロジーをup to dateに読者のみなさんに伝えることを目指している。
【目次】
1 緒論
2 黒鉛層間化合物の合成
2.1 はじめに
2.2 合成法
2.2.1 Two-bulb法
2.2.2 気相接解法
2.2.3 混合法
a) 固相-固相反応
b) 固相-液相反応
c) 固相-溶液相反応
2.2.4 電気化学的方法
2.2.5 その他の方法
a) 光化学的方法
b) イオン注入法
2.3 合成法-各論-
2.3.1 二次系ドナー型黒鉛層間化合物
a) K-、Rb-、Cs-GICs
b) Li-GIC
c) Na-GIC
d) Sr-,Ba-、希土類金属-GICs
2.3.2 二次系アクセプター型GIC
a) ハロゲン-GICs
b) ハロゲン化合物-GICs
c) 酸素酸およびルイス酸GICs
d) その他酸化物、酸素酸塩GICなど
2.3.3 三元系黒鉛層間化合物
a) アルカリ金属を含む三元系黒鉛層間化合物
b) ハロゲンあるいはハロゲン化合物を含む三元系黒鉛層間化合物
C) その他の三元系黒鉛層間化合物
2.4 炭素材料の特性とGIC生成反応
2.4.1 GICのホストとしての炭素材料
2.4.2 熱処理温度の異なる炭素材料とGIC生成反応
2.5 黒鉛層間化合物生成の化学熱力学
2.5.1 熱化学的測定の方法
2.5.2 アルカリ金属GICの熱化学
a) カロリメトリーによる反応熱測定
b) 蒸気圧測定による熱力学的データ
c) 起電力測定による熱力学的データ
2.5.3 その他のGICの熱力学
a) 臭素-GICの熱力学
b) 金属ハロゲン化物GICの熱化学
2.6 黒鉛層間化合物の生成機構
3 黒鉛層間化合物の結晶構造と物性
3.1 はじめに
3.2 ステージ構造
3.2.1 ステージ構造と相図
a) 黒鉛の結晶構造
b) ステージ構造とステージ転移
c) 層間物質を含む黒鉛層層間距離
d) ステージ構造安定の機構
e) ステージ構造における黒鉛層の積層秩序
3.2.2 面内構造と積層秩序
a) ステージ1アルカリ金属
b) 高ステージ化合物
c) アクセプター型化合物
3.3 電気的性質と電子構造
3.3.1 電気伝導
3.3.2 電子構造
a) ステージ1アルカリ金属化合物
b) 高ステージ化合物
3.3.3 ラマン散乱
3.3.4 核磁気共鳴
a) 13C-NMRと電荷分布
b) 層間原子および分子のNMR
3.3.5 電子比熱
3.4 光学的物質
3.5 超伝導
3.6 磁性化合物
3.6.1 希土類金属化合物
3.6.2 アクセプタ型磁性化合物
4 炭素繊維へのインターカレーション
4.1 まえがき
4.2 グラファイト・ファイバー
4.3 インターカレーション
4.4 ステージ構造
4.5 ラマン特性
4.6 電子輸送特性
4.6.1 電気伝導率
4.6.2 安定性
4.6.3 磁気抵抗効果
4.7 熱起電力
4.8 機械的特性
4.9 インターカレーション・カーボンファイバーの応用
4.1 まとめ
5 共有結合性黒鉛層間化合物
5.1 はじめに
5.2 フッ化黒鉛
5.2.1 研究の歴史
5.2.2 合成と構造
a) 反応装置ち合成法
b) 炭素材料と生成物の組成、結晶性
c) 黒鉛とフッ素の反応速度
d) 結晶構造
5.2.3 表面物性とその応用
a) 表面自由エネルギーと湿潤熱
b) 低表面エネルギーの利用
5.2.4 熱力学データ
5.2.5 Li/(CF)n電池
a) 電池反応
b) 正極特性を支配するフッ化黒鉛の構造的因子
c) 溶媒および電界質の影響
d) 実用電池の特徴
e) 正極の改質
5.2.6 潤滑特性
5.3 酸化黒鉛
5.3.1 研究の歴史
5.3.2 合成法
a) Brodie法
b) Staudenmaier法
c) Hummers,Offemen法
d) 炭素材
5.3.3 組成、構造および反応機構
a) 組成
b) 官能基の同定、定量
c) X線、電子線回析の結果
d) 構造モデル
e) 酸化黒鉛の生成反応機構
5.3.4 Li/Go電池
a) 正極用酸化黒鉛の合成
b) 電池反応
c) 放電特性
5.4 まとめ
6 黒鉛層間化合物の利用
6.1 はじめに
6.2 黒鉛層間化合物の歴史
6.3 起業における黒鉛層間化合物
6.4 高導電性黒鉛層間化合物
6.4.1 経緯と全体としての傾向
6.4.2 五フッ化物系
6.4.3 遷移金属塩化物系
6.4.4 フッ素系
6.4.5 アルカリ金属-ビスマス系
6.4.6 残留ハロゲン系
6.5 電極材料としての黒鉛層間化合物
6.5.1 電極材料としての特徴
6.5.2 一次電池
6.5.3 二次電池
6.5.4 温度差電池
6.6 有機合成化学に用いられる黒鉛層間化合物
6.6.1 黒鉛層間化合物の役割と研究動向
6.6.2 触媒としての黒鉛層間化合物
6.6.3 反応試薬としての黒鉛層間化合物
6.7 水素ガスの貯蔵、濃縮のための黒鉛層間化合物
6.7.1 アルカリ金属-水素-黒鉛三元系層間化合物
6.7.2 水素の貯蔵
6.7.3 水素同位体の分離
6.8 その他の利用
6.8.1 膨張黒鉛の製造
6.8.2 蓄熱システム
6.8.3 その他
6.9 用途開発における問題点(むずびに代えて)
6.9.1 実用化への二つのパターン
6.9.2 ホスト黒鉛
6.9.3 合成法
6.9.4 安定性
6.9.5 賦系