商品コード:
RLB222719
リチウムイオンキャパ 技術と材料
販売価格(税込):
71,500
円
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Pt
■体裁:B5判、198ページ
■発刊:2010/10
■ISBNコード:978-4-7813-0284-3
■シーエムシー出版
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【著者】
石川正司 関西大学 化学生命工学部 教授
石原達己 九州大学 大学院工学研究院 応用化学部門 教授
矢田静邦 (株)KRI 顧問
千葉一美 日本カーリット(株) R&Dセンター 研究員
森田昌行 山口大学 大学院理工学研究科 教授
荒井邦仁 日本ゼオン(株) 総合開発センター 高機能材料第2研究所
河原秀樹 福田金属箔粉工業(株) 高機能銅箔事業開発プロジェクトチーム チームリーダー
津端敏男 旭化成(株) 新事業本部 研究開発センター シニアマネージャ
青木良康 太陽誘電エナジーデバイス(株) 顧問
森本 剛 森本技術士事務所 代表
直井勝彦 東京農工大学大学院 工学研究院 応用化学部門 教授
勝部恭行 FDK(株) キャパシタ事業推進室 回路開発グループリーダー
光田憲朗 三菱電機(株) 先端技術総合研究所 エネルギーデバイス技術部 主管技師長
竹村大吾 三菱電機(株) 先端技術総合研究所 エネルギーデバイス技術部 電気化学デバイス技術グループ 主席研究員
西野 敦 西野技術士事務所 所長
【序文】
本書は,新しい蓄電デバイスである,リチウムイオンキャパシタに関して詳しく述べた技術書である。太陽光ならびに風力発電,家庭用燃料電池などが最近急速にクローズアップされ,ハイブリッド電気自動車が販売のトップで推移し,ハイブリッドではない電気自動車も普及段階に入りつつある昨今,蓄電によって電気エネルギーを効率的に運用する技術に大変関心が集まっている。従来からのエネルギー用途としての蓄電デバイスには二次電池と電気二重層キャパシタがあるが,この両者のスペックの間を埋めるものとして,リチウムイオンキャパシタが登場した。この新しい蓄電デバイスを単独で取り上げた技術書は,国内外ともにこれまではなかったと思われる。そういう意味で,本書は貴重である。
リチウムイオンキャパシタは,登場してから数年しか経っておらず,製品としても製造が始まったばかりであり,まだまだ新しい技術だけに改良の余地が少なからず残されている。そして何よりも現在でも開発途上の技術が多く,特に企業からは未公開の事項や技術も多い。そういった現状の中で本書を企画し,出版まで至るのは容易ではなかった。本デバイスの構成から応用についてご見識のある執筆者諸氏から原稿を寄せて頂いたが,進行中の技術ゆえに確信を持って書けないことや,様々な制約があったことと推察する。改めてご執筆頂いた多くの先生方に深く感謝を申し上げたい。
本書ではリチウムイオンキャパシタの基本から構成部材や材料について,そして幾つかのバリエーションや関連デバイスについて解説している。また後半では応用技術動向や市場動向について触れており,リチウムイオンキャパシタに関心のある諸氏はもちろん,新規なハイブリッドキャパシタの開発者,さらには二次電池や従来型キャパシタの開発者や研究者にとっても有益な書であると信ずる。それは,リチウムイオンキャパシタは電池からキャパシタまでの技術を横断的に含んでおり,それらは相互に影響しうるものだからである。
リチウムイオンキャパシタは,リチウムイオン電池や電気二重層キャパシタと同じく,日本で本格的に実用化された蓄電デバイスであり,今後の進展が期待されている。本書がリチウムイオンキャパシタを含む蓄電デバイス技術の発展に少しでも資するところがあれば喜びに堪えない。
(「刊行にあたって」より抜粋)
2010年10月 関西大学 石川正司
【目次】
第1章 総論(石川正司)
1. リチウムイオンキャパシタの原理、構成、展望
2. リチウムイオンキャパシタの原理
2.1 ハイブリッドキャパシタ
2.2 リチウムイオンキャパシタとは
2.3 リチウムイオンキャパシタのメリット:静電容量の増加
2.4 リチウムイオンキャパシタのメリット:蓄電容量・エネルギー密度の向上
2.5 リチウムイオンキャパシタのその他のメリット
3. リチウムイオンキャパシタの構成
3.1 リチウムプレドープの重要性
3.2 リチウムプレドープの方法
3.3 電極材料
3.4 電解液
3.5 製造に必要なその他の材料
4. リチウムイオンキャパシタの展望
第2章 構成部材
1. ハイブリッドキャパシタ用非活性炭型正極材料の特性(石原達己)
1.1 はじめに
1.2 グラファイト炭素へのPF6-の挿入挙動
1.3 PF6-の挿入を利用するハイブリッドキャパシタの蓄電特性
1.4 籾殻からの高表面積負極炭素の合成とキャパシタ特性
1.5 おわりに
2. 負極材料(矢田静邦)
2.1 はじめに
2.2 ポリアセン(PAS)とハードカーボン
2.3 ポリアセン(PAS)電極
2.4 ハードカーボン電極
2.5 黒鉛電極
2.6 おわりに
3. 電解液
3.1 スピロ型第四級アンモニウム(SBP)塩および新規溶媒を用いた電解液の特性(千葉一美)
3.1.1 はじめに
3.1.2 結果と考察
3.1.2.1 アルキル修飾した環状カーボネート
3.1.2.2 鎖状スルホン
3.1.3 おわりに
3.2 炭素電極の電気二重層容量に及ぼす電解液の影響(森田昌行)
3.2.1 はじめに
3.2.2 活性炭電極の二重層容量と電解液組成
3.2.3 平滑炭素電極における電気二重層容量
3.2.4 おわりに
4. バインダー材料(荒井邦仁)
4.1 はじめに
4.2 リチウムイオンキャパシター用電極の構成材料とその製造方法
4.3 バインダーの種類と各種バインダーの特徴
4.4 バインダーに求められる特性
4.4.1 結着性
4.4.2 耐電解液性
4.4.3 電気化学的安定性
4.4.4 スラリー安定性
4.5 リチウムイオンキャパシターの高品質化に向けたバインダー
4.6 おわりに
5. リチウムイオンキャパシタ用電解銅箔と金属箔パンチングシートの紹介(河原秀樹)
5.1 電解銅箔
5.2 パンチングシート
第3章 リチウムイオンキャパシタ
1. 高出力密度型リチウムイオンキャパシタ(津端敏男)
1.1 はじめに
1.2 LiBとEDLCとLiCの違い
1.3 LiC用炭素負極材料
1.3.1 炭素負極
1.3.2 複合多孔性材料
1.3.3 LiB用負極材料と複合多孔性材料の比較
1.4 高出力密度型LiC
1.4.1 LiCの内部抵抗
1.4.2 高出力型LiCの性能
1.5 おわりに
2. 中・小型円筒型リチウムイオンキャパシタ(青木良康)
2.1 はじめに
2.2 リチウムイオンキャパシタの原理と特徴
2.3 プレドープ技術
2.4 円筒型LICの製造方式概要
2.5 円筒型LICの特性
2.6 円筒型LICの安全性
2.7 小型LICの薄型セルへの応用
2.8 おわりに
3. リチウムイオンキャパシタ・ハイブリッドキャパシタの新展開(森本剛)
3.1 はじめに
3.2 ハイブリッドキャパシタの原理
3.3 各種ハイブリッドキャパシタ
3.3.1 活性炭負極ハイブリッドキャパシタ
3.3.2 活性炭正極ハイブリッドキャパシタ
3.4 おわりに
4. 大容量「ナノハイブリッドキャパシタ」の開発と展望(直井勝彦)
4.1 はじめに
4.2 ナノハイブリッドキャパシタ(NHC)の構成
4.3 nc-Li4Ti5O12/CNFコンポジットの特性
4.3.1 nc-Li4Ti5O12/CNFのナノ構造と結晶性
4.3.2 nc-Li4Ti5O12/CNFの電気化学的挙動
4.4 ナノハイブリッドキャパシタの特性
4.5 カーボンナノチューブを使用したナノハイブリッドキャパシタ
4.6 今後の発展とその方向性
4.7 おわりに
5. 適用分野別EneCapTen(LIC)モジュールの設計(勝部恭行)
5.1 はじめに
5.2 キャパシタと他の2次電池との違い
5.3 リチウムイオンキャパシタの製品用途
5.4 リチウムイオンキャパシタモジュールの制御
5.4.1 セル電圧の検知
5.4.2 セル電圧の均等化
5.5 リチウムイオンキャパシタモジュールの実例
5.6 リチウムイオンキャパシタモジュールの分野別設計について
5.6.1 スタンバイ用途
5.6.2 回生用途
5.7 おわりに
6. リチウムイオンキャパシタ負極へのリチウムプレドープ挙動の解析(光田憲朗、竹村大吾)
6.1 リチウムプレドープの必要性とリチウムドープの方法について
6.2 多極Reference付きセルについて
6.3 8極Reference付きLICセルの構成と試験セルの仕様
6.4 負極とリチウム金属電極との接続直前の電位分布
6.5 リチウムイオンキャパシタ負極とリチウム金属電極との接続後の電位変化
6.6 リチウムイオン電池負極とリチウム金属電極との接続後の電位変化
6.7 リチウムプレドープへの温度の影響
6.8 リチウムイオンキャパシタとリチウムイオン電池でのリチウムプレドープの違い
第4章 応用開発動向
1. リチウムイオンキャパシタの高エネルギー密度化(西野敦)
1.1 はじめに(LiCの概要)
1.2 EDLCの基本特性とP-EDLCの概要
1.2.1 蓄電素子での電池、EDLC、P-EDLCの位置づけ
1.2.2 EDLCとP-EDLCの相違
1.3 高密度化のための材料技術
1.3.1 EDLCの各サイズ別、応用機器、活性炭材料との構成
1.3.2 代表的な活性炭製造メーカー
1.3.3 導電性改良材
1.4 電解質、溶媒
1.5 バインダー材料
1.6 スラリー安定剤
1.7 セパレータ
1.8 新電極構成法
1.9 EDLCの生産技術の進歩とEDLC諸特性の向上
1.9.1 Dry roomとDry chamberでの露点管理の水分の及ぼすEDLC特性
1.9.2 電極用バインダーと電極工程とEDLC特性
1.10 LiCを応用可能な最新のEDLC応用開発と展望
1.10.1 はじめに
1.10.2 HEV、PEVへのEDLCの応用
1.10.3 HEV用二次電池及び世界の自動車用二次電池の連携関係
1.10.4 スクータ用スタータ応用
1.10.5 ソーラー水蒸気発電でのEDLC応用
1.10.6 建設機の動力源にEDLCを搭載
1.10.7 短時間、瞬時充電機器の開発実用化
1.10.8 非接触充電の家電機器での実用化例
1.10.9 非接触、急速、瞬時充電方式の基本構成
1.10.10 その他のEDLC応用機器
1.11 まとめと今後の展望
1.11.1 生産技術と安全性
1.12 LiCの将来展望
1.13 おわりに
2. 車載用リチウムイオンキャパシタ(LIC)(矢田静邦)
2.1 はじめに
2.2 リチウムイオンキャパシタ(LIC)の容量特性
2.3 リチウムイオンキャパシタ(LIC)の電流休止法抵抗
2.4 電流休止法抵抗からの入出力レート特性予測計算
2.5 LIBとLICの特性比較
2.6 おわりに
第5章 リチウムイオンキャパシタの開発・市場動向(青木良康)
1. はじめに
2. リチウムイオンキャパシタの開発動向
3. リチウムイオンキャパシタの主な用途
4. リチウムイオンキャパシタの市場動向
5. おわりに