商品コード:
RLB223063
リチウムイオン二次電池用炭素系負極材の開発動向
販売価格(税込):
69,300
円
ポイント:
630
Pt
■体裁:B5判・234頁
■発刊:2019年9月30日
■ISBNコード:978-4-7813-1435-8
■シーエムシー出版
【監修】
川崎晋司
【刊行にあたって】
本書では炭素系負極に焦点をあて、どのように負極が動作しているのかをさまざまな手法でさまざまな角度から解明することからスタートします(第Ⅰ編)。リチウムイオン電池が商品化されるうえでもっとも大きなカギとなった炭素系負極の動作メカニズムが、現時点でどこまで明らかになっているのかを理解できます。続いて第Ⅱ編では商品化から四半世紀の間、リチウムイオン電池のエネルギー密度を向上させてきた炭素系負極の材料改良や今後期待される新材料について、材料メーカーの技術者、大学の研究者が解説しています。ここでは炭素材料の構造や物性についてさまざまな知見を得ることができます。炭素系負極が非常にうまく機能しているのは、最初の充電時に形成される皮膜(SEI皮膜)によるところが大きいと考えます。しかし、このきわめて重要なSEI皮膜が炭素表面でどのように形成されるのかについては必ずしも十分に理解されていません。この炭素表面での反応を正しく理解することは、リチウムイオン電池の性能向上のみならず炭素電極を必要とする次世代蓄電池や燃料電池の開発においても重要であると考えます。さまざまな炭素材料表面でのさまざまな化学反応の様子が網羅的にまとめられたのは、本書の第Ⅲ編が初めてだと思います。
(本書「刊行にあたって」より抜粋)
【著者】
川崎晋司 名古屋工業大学
福塚友和 名古屋大学
安部武志 京都大学
岡秀亮 ㈱豊田中央研究所
後藤和馬 岡山大学
森脇博文 ㈱東レリサーチセンター
馬場良貴 ㈱八山
武内正隆 昭和電工㈱
福井俊巳 ㈱KRI
藤本康治 ㈱KRI
田中俊輔 関西大学
西山憲和 大阪大学
能登原展穂 長崎大学
瓜田幸幾 長崎大学
森口勇 長崎大学
太田道也 群馬工業高等専門学校
清水雅裕 信州大学
新井進 信州大学
石井陽祐 名古屋工業大学
是津信行 信州大学
手嶋勝弥 信州大学
馬仁志 物質・材料研究機構
佐々木高義 物質・材料研究機構
仁科勇太 岡山大学
東信晃 岡山大学
都甲薫 筑波大学
豊田昌宏 大分大学
曽根田靖 産業技術総合研究所
尾崎純一 群馬大学
川口雅之 大阪電気通信大学
吉澤徳子 産業技術総合研究所
大澤善美 愛知工業大学
糸井弘行 愛知工業大学
稲本純一 兵庫県立大学
松尾吉晃 兵庫県立大学
石井陽祐 名古屋工業大学
【目次】
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【第 I 編 充放電メカニズム・構造解析】
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第1章 黒鉛負極/電解液界面でのリチウムイオン移動とその活性化障壁
1 はじめに
2 リチウムイオン電池の内部抵抗
3 黒鉛負極/電解液界面の構造
4 黒鉛負極/電解液界面のリチウムイオン移動
4.1 黒鉛負極への溶媒和リチウムイオン移動
4.2 黒鉛負極へのリチウムイオン移動
5 まとめ
第2章 分光実験によるリチウムイオン二次電池負極の充放電メカニズム解析
1 はじめに
2 リチウムイオンの挿入脱離による黒鉛構造変化
2.1 回折法(X線,中性子線)
2.2 ラマン分光法
2.3 電子エネルギー損失分光法(EELS)
2.4 X線ラマン分光法(XRS)
3 リチウムイオンの挿入脱離による黒鉛表面変化
3.1 飛行時間型二次電子質量分析法(TOF-SIMS)
3.2 X線光電子分光法(XPS)
3.3 硬X線光電子分光法(HAXPES)
3.4 中性子反射率法(NR)
4 まとめ
第3章 NMR測定を用いた炭素負極におけるイオン挿入過程と過充電状態の解析
1 炭素材料に取り込まれたリチウムのNMR信号
2 過充電負極の 7Li NMR による解析
第4章 サイクル試験による耐久試験後のSiO/炭素系負極のSEI被膜,負極合剤層の分布評価
1 はじめに
2 LIB負極の劣化分析
2.1 試料前処理と測定手法
3 サイクル試験におけるSiO/炭素系負極の劣化分析事例
3.1 分析に使用した試作セルの詳細
3.2 SEI被膜の構造解析
3.3 活物質粒子の劣化分析
4 おわりに
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【第 II 編 炭素系負極材の開発・応用】
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第1章 リチウムイオン電池用負極の最新技術と将来展望
1 はじめに
2 黒鉛系負極の課題など
2.1 開発の歴史
2.2 コスト
2.3 ハンドリング
2.4 電池特性
2.5 材料開発の方法
3 黒鉛系負極の最新技術
3.1 金属系負極
3.2 黒鉛系材料
4 将来展望
第2章 昭和電工における黒鉛負極材の開発と展開
1 はじめに
2 炭素系LIB負極材料の開発状況
2.1 LIB負極材料の種類と代表特性
2.2 LIBおよび負極材料要求項目
3 人造黒鉛負極材のサイクル寿命,保存特性,入出力特性の改善
3.1 人造黒鉛SCMG®の特徴
3.2 人造黒鉛SCMG®(AGr),表面コート天然黒鉛(NGr)の耐久性比較とその解析
3.3 人造黒鉛SCMG®の膨張特性
3.4 人造黒鉛SCMG®の急速充放電性(入出力特性)
3.5 人造黒鉛SCMG®のさらなる高容量化:Si黒鉛複合負極材の開発
第3章 エレクトロスプレーデポジッション法を利用したLIB用負極材料の開発
1 はじめに
2 電界紡糸法とは
3 電界紡糸法によるLIB用Si系負極材料
3.1 Si-C複合材料形成
3.2 LIB負極特性
4 まとめ
第4章 ソフトテンプレート法によるメソポーラスカーボンの合成
1 はじめに
2 規則性ポーラスカーボンの合成
3 ソフトテンプレート法によるメソポーラスカーボンの合成
4 メソポーラスカーボンの細孔制御,細孔構造制御
5 アルカリ賦活によるミクロ孔の導入と高表面積化
6 メソポーラスカーボンの形態制御
7 無溶媒合成プロセスの開発
8 おわりに
第5章 多孔カーボン・活物質複合電極の開発
1 ナノ多孔カーボン・SnO2複合材料の合成
2 ナノ多孔カーボン・SnO2複合材料の充放電特性
3 ナノ多孔カーボン・SnO2複合電極の全固体電池への応用
第6章 多孔質炭素小球体の調製と負極特性
1 はじめに
2 炭素小球体の調製
2.1 気相経由での炭素小球体の調製
2.2 液相または固相経由での炭素小球体の調製
2.3 高分子を利用した無孔質および多孔質炭素小球体の調製
3 LiB用負極材を目指した多孔質炭素小球体の調製と負極特性
4 おわりに
第7章 めっき技術を用いたリチウムイオン電池用CNT/Sn電極の開発
1 はじめに
2 電気めっき法によるCNT自立膜内部への活物質(Sn)の担持
3 SWCNT/Sn自立膜複合電極のリチウムイオン電池負極特性
4 おわりに
第8章 内包CNTの電池電極特性
1 はじめに
2 キノン内包SWCNTの電池電極特性
3 リン内包SWCNTの電池電極特性
4 ヨウ素内包SWCNTの電池電極特性
5 まとめ
第9章 多層CNTを用いたリチウムイオン二次電池
1 はじめに
2 導電助剤としてのMWCNT
3 導電性バインダーとしてのMWCNT
4 短いMWCNTを用いた高エネルギー密度型リチウムイオン電池
5 SWCNTとMWCNTのハイブリッドによる高出力化
6 高容量負極への応用
7 まとめ
第10章 酸化マンガンナノシート/グラフェン超格子複合材料
1 背景
2 酸化マンガンナノシート/グラフェン超格子複合材料の合成
3 酸化マンガンナノシート/グラフェン超格子複合材料の負極特性
4 酸化マンガンナノシート/グラフェン超格子複合材料の電極反応機構
5 おわりに
第11章 酸化グラフェンの合成と負極特性
1 GOの作製方法と還元型rGOの負極応用
1.1 GOおよびrGOの作製方法
1.2 rGOのLIB負極としての応用
2 rGOを機能化した負極材料
2.1 ヘテロ元素を導入したrGO負極
2.2 rGOと他負極材料との複合化
第12章 全固体二次電池負極に向けた多層グラフェンの新規合成技術
1 全固体二次電池とグラフェンの負極応用
2 多層グラフェンの新規合成法
2.1 金属誘起層交換
2.2 Ni誘起層交換合成した多層グラフェンの諸特性
2.3 層交換合成した多層グラフェンの充放電特性
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【第 III 編 今後解決しなければならない課題】
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第1章 炭素表面での反応の重要性について
1 はじめに
2 炭素材料の多様性 ―構造と微細組織―
3 SEI(Solid Electrolyte Interphase)被膜
4 リチウム-黒鉛層間化合物
5 乱層構造炭素(非黒鉛炭素)へのインターカレーション
6 黒鉛結晶へのインターカレーション
7 複合材へのインターカレーション
8 おわりに
第2章 ヘテロ原子-ドープカーボンの触媒活性
1 はじめに
2 カーボンの触媒作用と触媒設計への道のり
3 固体高分子形燃料電池カソード触媒用カーボンアロイ触媒
4 ヘテロ元素ドープカーボンのORR触媒活性
4.1 窒素ドープカーボン
4.2 その他の異種元素ドープカーボン
4.3 複合ドープカーボン
4.4 BNドープカーボン
4.5 PNドープカーボン
4.6 ナノシェルカーボンと異種元素ドープ
5 結論
第3章 B/C/N系材料のリチウムイオン二次電池負極特性
1 はじめに
2 B/C/N系材料の作製と生成物
2.1 B/C/N材料とB/C材料の作製
2.2 生成物の組成
2.3 B/C/N系材料の結晶構造
3 電気化学インターカレーションと負極特性
3.1 Liイオン二次電池負極特性
4 おわりに
第4章 炭素表面での反応のTEM観察
1 はじめに
2 炭素表面構造のTEM観察技法
2.1 TEMの基本構成
2.2 炭素材料に用いられる各種TEM観察像
3 炭素材料のバルクおよび表面構造
4 電極表面構造の顕微鏡観察
5 炭素微小球(GCNS)負極の電池特性と表面構造
6 まとめ
第5章 CVDコーティングによる炭素表面での反応制御
1 CVD法を利用したカーボンコーティングによる表面修飾の概要
1.1 はじめに
1.2 CVD法によるカーボンコーティングの研究事例
1.3 流通式CVD法とパルスCVD/CVI法
2 天然素材から得た低結晶性炭素へのカーボンコーティング
2.1 コーティング試料の表面構造
2.2 コーティング試料の充放電特性
3 難黒鉛化性炭素粉体へのカーボンコーティング
3.1 コーティング試料の構造評価
3.2 コーティング試料の充放電特性
4 黒鉛粉体へのカーボンコーティング
4.1 コーティング試料の構造評価
4.2 コーティングによるPC分解反応の抑制
4.3 コーティングによるレート特性の向上
第6章 グラフェン系炭素表面での反応特性
1 緒言
2 GLGのリチウムイオン挿入の初期過程
3 GLGへのリチウムのプレドープと充放電
4 まとめ
第7章 単層カーボンナノチューブ電極表面の反応特性
1 はじめに
2 SWCNT集合体の構造的特徴とイオン吸着サイト
3 SWCNTのリチウムイオン電池電極としての性能
4 SWCNT表面での反応特性
5 おわりに