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RLB100156
薄膜の力学的特性評価技術
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※本書はオンデマンド印刷版となります。
(装丁の変更のみ、内容は発刊当時のものと変わりありません。)
■体裁:B5判、606頁
■発刊:1992年3月
■ISBNコード:
【編集委員長】
金原粲 東京大学
【編集委員】
河野彰夫 理化学研究所
生地文也 大阪大学
馬場茂 成蹊大学
【執筆者】
河野彰夫 編
河野彰夫 理化学研究所/ 塚本雄二 日本電気/ 山本靖則 島津製作所/
金沢憲一 千葉工業大学/ 野呂瀬進 帝京大学/ 三宅正二郎 日本工業大学/
稲川幸之助 日本真空技術/ 三科博司 理化学研究所/ 三矢保永 名古屋大学/
河野彰夫 理化学研究所/ 生地文也 大阪大学/ 馬来国弼 横浜市立大学/
生地文也 大阪大学/ 梅野正隆 大阪大学/ 生地文也 大阪大学/
中島信一 大阪大学/ 西野種夫 神戸大学/ 馬来国弼 横浜市立大学/
生地文也 大阪大学/ 梅野正隆 大阪大学/ 中島信一 大阪大学/
西野種夫 神戸大学/ 馬来国弼 横浜市立大学/ 馬場茂 編 /
松田七美男 東京電機大学/ 岩田誠一 日立製作所/ 木村文人 那須ニコン/
草開稔 大阪市立大学/ 村川正夫 日本工業大学/ 新井透、渡辺三千雄 豊田中央研究所/
橋本英彦 三井石油化学工業/ 蓮山寛機 久留米工業大学/
塩田良幸 プロメトロンテクニクス/ 馬場茂 成蹊大学
※著者の所属等は刊行当時のものです。
【概要】
薄膜の応用の広さは今更言うまでもない。それに伴って薄膜の物性研究も盛んに行われ,多くの有用なデータが集積されてきている。その内容をみると,現在は,電気的,磁気的,光学的性質の研究と利用に関心が集中しており,他の性質の研究は,相対的にはまだあまり深く行われていないように見える。
しかしながら,薄膜を用いた商品が出回るようになってくると,必然的にその信頼性や耐久性が問題とされ,最近はそれに関連して薄膜の機械的あるいは力学的と呼ばれる性質に注目が集まるようになってきた。この性質は古くから研究されてきてはいたが,研究者といわれる人たちの研究は,多くは現象の測定と解明に力点が置かれ,必ずしも実際上の要請に応えるようにはなっていない。一方で現場の技術者は,その時々に発生した問題の解決にエネルギーを集中し,なかなか普遍性のある形でデータを示してこない。この分野では学問体系がかなり欠如しており,この性質に関連した問題や困難に遭遇した研究者,技術者が拠り所にするべき文献が不足していると言わざるを得ない。
このような状態をいくらかでも緩和し,特に現場で苦労している薄膜技術者の役に立てようとして編まれたのが本書である。研究の現況が把握できるように,目下この方面で活発な研究活動に従事している研究者,技術者に最大限の労力とデータの提供をお願いした。関心を持つ方々に必ず役立つものと確信している。
【目次】
第1編 薄膜のトライボロジー
第1章 薄膜の硬さ
第1節 各種の硬さ評価法
1. はじめに
2. 硬さ評価の物理的意味
3. 硬さの定義
4. 硬さ評価試験法の分類
5. 各種の硬さ評価法
6. 実験室における硬さ評価法
7. 硬さと摩擦・摩耗
第2節 薄膜の硬度評価
(1) 薄膜用高度計 I(日本電気)
1. はじめに
2. 装置構成および測定原理
3. 測定精度および応用例
4. まとめ
(2) 薄膜用硬度計 II(島津製作所)
1. はじめに
2. 硬度計の構造・機能
3. 薄膜の硬度評価
4. 従来の硬度との比較
5. 硬度測定時の注意
6. おわりに
(3) 薄膜の硬度評価例
1. 押し込み硬度
2. 超微小硬度計
3. 薄膜強度の評価法と測定例
4. 硬度測定時の問題点とその対策
5. コンピュータシミュレーションによる薄膜強度の解析
第2章 薄膜の摩擦
第1節 摩耗の機構
1. 摩耗の種類
2. 凝着摩耗
3. 2固体の親和性と摩耗
4. 凝着摩耗におけるシビアー・マイルド遷移
5. アブレッシブ摩耗
6. アブレッシブ摩耗と凝着摩耗
第2節 耐摩耗性薄膜
1. 耐摩耗性とは
2. 超硬質膜
3. 硬質カーボン系薄膜
4. 薄膜形成法(イオン注入関連技術)
5. 応用
第3節 実用化されている硬質薄膜の作製法と具体例
1. PVD法による硬質薄膜
2. CVD法による硬質薄膜
3. TRD法による硬質薄膜
4. 適用事例
第3章 薄膜を利用した潤滑
第1節 潤滑とは
1. 潤滑技術の発展
2. 薄膜による潤滑
3. 固体の接触と摩擦
4. 乾燥摩擦と潤滑の種類
5. 流体潤滑
6. 境界潤滑
7. 固体潤滑
8. 潤滑性薄膜
第2節 気体薄膜による潤滑
1. 薄膜気体潤滑の特徴
2. 圧縮性気体潤滑
3. 気体の粒子性を考慮した気体潤滑
4. 面粗さを考慮した気体潤滑
5. 動特性を考慮した気体潤滑
第3節 有機単分子薄膜による潤滑
1. 境界潤滑と有機単分子薄膜
2. 境界潤滑の重要性(Junction Growthの理論)
3. ラングミュア膜による潤滑
4. おわりに
第2編 薄膜の内部応力
第1章 基礎事項
1. はじめに
2. 膜応力
3. 膜応力の定義
4. 熱応力
5. 内部応力
第2章 膜応力の測定原理と方法
第1節 たわみ測定
(1) たわみ測定と光学的方法
1. 膜応力の測定原理と方法
2. たわみ測定
3. 光学的方法
(2) 電気的方法
(3) 形状測定による内部応力測定
1. はじめに
2. 表面マクロ形状の測定法
3. Si熱酸化膜の内部応力の測定
4. まとめ
第2節 X線回折, 電子回折法
1. X線回折
2. 電子回折法
第3節 ラマン散乱法
1. ラマン散乱の原理
2. ラマン散乱による歪み測定
第4節 フォトルミネッセンス法
第3章 内部応力の測定結果
第1節 蒸着膜
1. 金属蒸着膜
2. 誘導体蒸着膜
3. アモルファス蒸着膜
第2節 スパッタ膜の応力
1. 薄い膜厚領域
2. 厚い膜厚領域
第3節 シリコン熱酸化膜の内部応力
1. はじめに
2. Siの熱酸化膜における内部応力の発生
3. 内部応力の測定
4. 間接的手法による内部応力の評価
5. 内部応力の緩和機構と応力分布
6. おわりに
第4節 半導体膜・誘導体膜・超格子膜
1. 静水圧下でのラマン散乱
2. 1軸性応力および二次元応力下のラマン散乱
3. 半導体膜の歪み
4. 歪み超格子
5. SOI(Silicon on Insulator)構造
6. 表面加工層
第5節 半導体膜ヘテロ接合界面
1. 半導体ヘテロ接合界面における応力
2. 測定結果
第4章 内部応力の原因
1. 薄膜・基板の格子不整合による歪みとその緩和
2. 薄膜の残留応力と応力評価法の問題点
3. 内部応力発生機構についての考察
4. 薄膜の剥離と内部応力
第5章 内部応力の制御
1. はじめに
2. 内部応力の原因
3. 加熱による内部応力の制御
4. イオン打ち込みによる制御
5. 異種原子の混合による制御
6. 薄膜の組合せによる応力制御
7. おわりに
第3編 薄膜の密着性
第1章 密着性の意味するもの
第1節 表面・界面エネルギーと付着, 密着
1. はじめに
2. 表面・界面の定義
3. 表面エネルギー・表面張力
4. 界面自由エネルギーと付着エネルギー
5. 付着エネルギーの測定法
6. 付着エネルギーの測定例
7. 付着エネルギーと付着力
8. 付着力の結果の例
第2節 分散エネルギー
1. 分散エネルギーとは
2. 理論的推定値
3. 付着力推定結果との比較
第2章 半導体プロセスにおける密着性
1. はじめに
2. 密着性とは?
3. 密着性がなぜ重要か?
4. 剥がれが発生したときの考え方
5. 剥がれの検討例
6. おわりに
第3章 光学用コーティング膜の密着性
1. はじめに
2. 付着状態の測定方法
3. テープ・テスト法
4. 光学薄膜の密着性
5. おわりに
第4章 Case Study
第1節 高分子膜の密着性
1. まえがき
2. 高分子膜の密着性の改善
3. プラズマ重合膜の密着性
4. 真空蒸着膜の密着性
5. その他の高分子薄膜の密着性
第2節 ダイヤモンド膜の密着性
1. はじめに
2. ダイヤモンド薄膜の一般的密着性測定法
3. ダイヤモンド膜密着性向上のための方策
4. 切削試験によるダイヤモンド膜密着性の実評価例
第3節 各種成膜法と膜の密着性
1. はじめに
2. 試験片
3. 試験方法
4. 結果
5. まとめ
第4節 光磁気記録膜の密着性
1. はじめに
2. 密着性に影響を及ぼす因子
3. 密着性の評価
4. おわりに
第5章 密着性の測定法
第1節 セバスチャンによる引っ張り試験
1. はじめに
2. 原理
3. 実用装置
4. 測定例
5. 今後の課題
6. おわりに
第2節 レベテスト
1. 試験機器
2. 臨界荷重値(クリティカルロード Lc)
3. 臨界荷重値へのパラメータの影響
4. 臨界荷重値の決定方法
5. スクラッチテストの応用可能性
6. まとめ
第3節 マイクロスクラッチテスタ
1. スクラッチ試験の特徴
2. スクラッチによる膜表面の損傷過程
3. マイクロスクラッチテスタの構造と測定原理
4. 摩擦測定
5. 密着性の評価